「スポーツを続けたい」という 強い気持ちが逆境を乗り越える力に。
佐藤 圭太
Sato Keita
陸上競技
短距離
- 1991年
- 静岡県藤枝市出身
- 2012年
- ロンドンパラリンピック出場
- 2014年
- インチョン2014アジアパラ競技大会 100メートル、200メートル(T44)、4×100㍍リレー(T42-47)(優勝)
Q1.中京大学に入学するまでのバックグラウンドを教えてください。
小学4年生から中学3年生までサッカーを続けてきました。中学3年生の時、『ユーイング肉腫』という病気にかかり、右足のひざから下を切断することになりました。しかし、義足になってもスポーツをやめるつもりは全くありませんでした。「どんなスポーツをするにしてもまずは走ることが基本だ」と考え、高校入学と同時にリハビリのつもりで入ったのが陸上部。パラリンピアンと出会う機会があり、その人たちと触れ合う中で、「真剣に陸上競技に取り組みたい」と感じるようになっていきました。
Q2.どのような思いで陸上競技と向き合ってきましたか。
陸上競技を始めたばかりの頃は全く走ることさえできないことにもどかしさを感じました。しかし、練習していくうちに少しずつ走ることができるようになり、徐々にタイムも向上していきました。そういった点に面白さを感じました。一番印象に残っているのは大学3年生の時のロンドンパラリンピックです。ずっと目標にしてきた舞台で走れたこと、8万人という観客の皆さんの前で走れたのは素晴らしい経験でした。
Q3.中京大学を選んだきっかけを教えてください。
パラリンピックに出場するというのがこれまでの私の目標でした。中京大学の陸上競技部は多くのオリンピック選手を輩出してきた名門です。オリンピックとパラリンピック、違いはあるかもしれませんが、レベルの高い環境で練習を重ねることで自分自身を成長させ、目標を達成したいと考えました。また、大好きなスポーツに関する専門的な知識を学びたいという気持ちもあり、体育学部のある中京大学を志願しました。
Q4.中京大学が他の学校と比べて秀でている点は。
目標を達成するために必要な施設や設備が充実しているのはもちろん、それらの施設を使って行われる授業も充実しているということが挙げられると思います。印象に残っているのは4年次に受けたスケートの授業。フィギュアスケートの授業がある大学は全国でも珍しく、中京大学らしい点だと思います。このように様々なスポーツを経験できますし、それらの楽しさを感じたりそのスポーツを専門としている選手のすごさを実感することが可能。私自身、こういったことを通じ、自分が専門とする競技にも応用できるのを身を持って経験しました。
Q5.陸上競技以外の選手との交流もありますか。
もちろんあります。中京大学には日本だけでなく世界の舞台でも活躍している選手が多く集まっています。そのような選手がすぐ隣で学ぶような環境に身を置くことで、「世界で戦う」という目標を掲げている自分に自信が持てましたし、慢心することなくモチベーションを維持することもできました。スポーツの分野で数多くの歴史を作ってきた中京大学だからこその美点だと感じています。
Q6.スポーツを続けてきた中で得たものについて教えてください。
仲間の存在について深く感謝するようになりました。陸上競技と言いますと競技内容が多様に分かれますが、そのどれもが個人種目というイメージが強いと思います。もちろん実際にスタートラインに立ったら自分一人で戦わなければなりません。しかし、同じ志を持つ仲間といっしょに練習することで指摘し合い、高め合っていくからより成長できるのです。ともにスポーツを楽しみ、成長し合えた仲間が学生時代の最高の財産です。
Q7.スランプに陥った時に抜け出す方法は。
私の場合は思い切ってしばらく走るのをやめてしまいます。そして競技を始めたばかりの頃に感じた「走ることの楽しさ」を今一度思い出すようにしています。うまくいかない時は苦しい気分に陥りがちです。そういう時こそ競技を楽しく続けるために初心を思い出すこが大切だと思います。ロンドンパラリンピックで世界との壁を感じた私は「速くなるしかない!」と考えました。速くなりたい。ただそれだけなんです。
Q8.中京大学に入学すると得られるものは。
私は現在、豊田キャンパス学生支援室の職員をしています。スポーツ科学部で学べば保健体育の中学・高校教諭免除状を取得できますし、多くのサポート体制もこの大学には整っています。なにより、中京大学は自分が掲げた目標に向かって全力で取り組むことができる大学です。視野や可能性を大きく広げてくれる仲間との出会いもたくさん待っています。
Q9.今後の抱負、将来の目標を教えてください。
2020年に開催される東京パラリンピックで良い成績をおさめることが一番の目標です。中でも100m走で10秒台を出し、メダルを獲得することを目標にしています。このタイムなら陸上競技をしている健常者といっしょに走っても遜色ない争いができると思います。これを実現できれば、まだまだ知名度の低いパラリンピックを見る目が変わってくると思いますし、私自身もっと競技の楽しみ方が増えるのではと考えています。
2015年2月取材