スポーツ科学者としての道

研究科長挨拶

体育学研究科長 來田 享子教授

中京大学大学院体育学研究科は、1974年に修士課程を、1987年には国内の私立大学体育学系大学院で最初の博士課程を設置しました。修士課程は約40年、博士課程は約30年の歴史を有する伝統ある大学院です。この間に修士号を授与された者は500名に到達しつつあり、77名に博士(体育学)の学位が授与されました。修了生たちは、国内外の大学をはじめとする研究・教育機関等において、体育学を牽引し、社会に貢献しています。

スポーツや身体活動の役割は、国際社会において、益々、重視されています。たとえば、現在、国連では国際社会の平和と開発に寄与するスポーツや身体活動の力に注目しています。国連は、2000年に採択された国際目標「ミレニアム開発目標(MDGs)」、その後継となる「持続可能な開発目標(SDGs)」(2015年採択)を受け、専門部署を設置してスポーツを通じた活動を進めています。

このような国際的な動向においては、スポーツは個人の心身の健康に寄与することはもちろん、他者を尊重し対話を促進したり、多様な人々の社会参画を促したり、男女の平等に貢献する等、多方面からの力を発揮することができると考えられています。

これらスポーツの多様な価値を社会に還元するためには、科学的な根拠にもとづき、戦略的に伝え、実践するための専門的な知見が欠かせません。中京大学体育学研究科は、上記のような国際社会の動向を見据え、「人文・社会科学」や「自然科学」等の多方面の視点、さらには複数の研究領域にまたがる学際的な視点から研究に取り組む研究者、より専門的な技能を備えた職業人を養成しています。

2020年に東京オリンピック・パラリンピック大会が開催される日本では、スポーツや身体活動への注目が増しています。多様な文化的・社会的背景を持つ人々が一堂に日本を訪れる機会は、スポーツの光と影、社会の光と影の両面を私たちに見せてくれます。この希有な機会を学問的な場として活かし、より良い社会をめざそうとする志ある学生を迎え、真摯に、対等に向き合い、共に研鑽できることを願っています。


教育研究の目的

本学は、よりよい教育研究のため、「教育研究上の目的に関する規程」を作成し、その中で、各研究科の、「人材の養成に関する目的」を明記しています。体育学研究科では、以下のような目的のもとに、実社会で活躍できる能力と豊かな人間性を身に付けた人材の輩出を目指します。

(1) 博士前期課程は、体育学・健康科学の領域における専門知識を修得させ、博士後期課程に進学して体育学・健康科学研究の専門職を目指す人材を養成するとともに、指導力向上を志す社会人の再教育を行い、高度の技術と指導力を備えた人材を養成する。

(2) 博士後期課程は、体育学・健康科学の領域における専門知識を修得させ、体育学研究を自立的に遂行できる能力を培い、高等教育機関や研究所等において教育研究職に従事できる人材を養成する。

「中京大学大学院の教育研究上の目的に関する規程」(2008年4月1日制定)より

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研究科の特徴

近年、様々な方面で体育・スポーツに対する関心・需要が高まっています。本研究科では、こうした社会のニーズに適切に対処するためには、体育・スポーツに関する高度でかつ多面的な研究が不可欠であるとの認識に立って、次のような 分野の教育・研究に取り組んでいます。

  • 1.健康つくりに関する研究
  • 2.体力つくりに関する研究
  • 3.運動の精神的効果に関する研究
  • 4.スポーツの社会科学的研究
  • 5.スポーツの歴史、 文化に関する研究
  • 6.生涯スポーツに関する研究
  • 7.競技力 向上に関する研究

本研究科は5つの系に分けてカリキュラムを編成、 研究指導等を行っています。

スポーツ文化・社会科学系

スポーツにかかわる思想・文化・歴史・社会・教育・政治・法律・経営・経済・産業など、文化事象として、社会現象として、また制度として認識されるスポーツを、幅広い問題意識のなかで捉え、科学的方法論に即して分析・検討を加えます。

スポーツ認知・行動科学系

スポーツにおける心理的問題の解決を基本課題とする系です。従来の心理学的方法とスポーツ科学の方法との統合を目指しながら、スポーツ行動に関する認知的問題、メンタルトレーニングの問題、計量的問題、臨床心理的問題、発達と加齢の問題などについての教育・研究を進めます。

スポーツ生理学系

運動によって起こる身体の変化と、運動を可能にする身体の仕組みを、形態・生理・生化学的に幅広く研究します。このような研究から、身体運動を通じて達成される体力の強化、活動力の向上、健康の増進、疾病の予防や老化の防止、疾病の治療の基礎になる資料などを得る ことを目的とします。

スポーツ健康科学系

人の健康は、遺伝・環境・行動の諸要因の複雑な関連の上に成り立っています。これら諸要因と健康の関連を、傷病の予防および健康の維持・増進の観点から研究します。主な課題は、健康の維持・増進と運動、スポーツ障害の予防、傷病からのスポーツ復帰、保健行動、様々な社会要因と健康の関連などです。

応用スポーツ科学系

研究の中核にバイオメカニクスをおき、その他の多分野、たとえば生理学、心理学、教育学などの研究方法も取り入れ、学際研究的な科学を目指します。これらの研究結果を新しいトレーニング法、コーチング法に応用するための研究を進めます。

博士前期(修士)課程の目標は研究者の養成と高度の専門性を備えた職業人の養成に置いています。そのため、できるかぎり多彩な科目を用意することに心掛けています。 博士後期課程における履修方法の特色は、2か年の博士前期(修士)課程の上に3か年の博士後期課程を乗せるという積み上げ方式をとり、他大学の修士課程修了者および外国人留学生を積極的に受け入れる方針を取っていることです。

博士後期課程の目標は自立した研究者を養成することにあります。したがって、教育の中心は系毎に開かれる複数教員参加のセミナー、および個人指導ベースの研究指導に置かれています。

研究科としてのもう一つの特徴は、本学にある他の研究科との単位互換制度を取り入れていることです。

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